【イベント感想】緊急イベント 強行開催東京オリンピックと2021年音楽シーン

 自分の2500円が相手に等価値で届いていることが実感できたイベントだった。宇野さんと柴さんと、ぷらすタナソーさんに、サポートしてる気持ちがしっかり伝わっていると思えたことが良かった。充実感と猛暑とでイベント後は昼寝。以下備忘のために。

 

 開演ギリギリになってしまった昨日のNONA REEVESライブの反省から、本日は無事に開場前に到着。まだ最前列も空いていたのだが、やっぱり3列目くらいに座ってしまう。

 宇野維正さん(映画・音楽ジャーナリスト)と柴那典さん(ライター/編集者/音楽ジャーナリスト)のトークイベント。宇野さんは2020年の青山ブックセンター以来、柴さんは2019年のぷらすと公開収録以来の観覧だから久々。ここ1ヶ月は今日を楽しみに生きてきた。

 「今日は途中乱入もあります。まだ来てないみたいですね〜。」(宇野さん)とのことでタナソーさんだろうなと思ったらやっぱり、タナソーさんこと田中宗一郎さんが登場。ぷらすと年末感、嬉しすぎる(最近だとpoplife the podcastか。)。

 

 話題はオリンピック開会式から。

 ジョージ・オーウェルの『1984』を引用しつつ、「政府が矛盾言語を使い始めた(例えば自粛要請とオリンピック開催など。)。今起こっていることは基準とモラルの破壊です。」(柴さん)

 タナソーさんも「1984を引用するのであれば、ダブルシンク二重思考)も」と応じる。 

 1984って言葉の意味を置き換えて思考を制限することしか思い出せない、、。また1984復習しよう。読み返してもすぐに忘れてしまう。

「オリンピック後の苦しい5年、10年を何とか生きていかないといけない」(柴さん)。

 

 続いてここ数日で起こったキャンセルカルチャーについて。

 「全く他人事ではない。」「自分にできることがあれば何か一緒にやりましょう。」(柴さん)

柴さんは、しっかり痛みを感じてそれ(痛みを痛みとして)を発信しつつ、実は危うさがない安心感を併せ持つ、本当に絶妙なバランスの方だなと思う。真摯であることと自分を保つこと。痛みを少し抽象化してから受け止める?から大丈夫なのだろうか。

 「具体的な被害者がいる事案だということ。今回のことも自分のせいで、と思う被害者もいるはず。その被害者の方々への想像力を、誰も持たなかったのではないか。」(タナソーさん)

毎度のことだが、タナソーさん(の発言)に「父性」を感じるのは私だけだろうか。

 個人的な本日のハイライトは以下。

「この3人の中で一番神経図太いのはこの人(宇野さん)だと皆さんと思っているでしょう?柴くんは時々鬱っぽいことを言ったりもするし。でも違うんですよ、この3人の中で一番ほっそい神経しているのはこの人(宇野さん)です。」(タナソーさん)

そうそう、ぷらすとでは「ピュア」な側面も結構前面に出ていた(と私は思う。)。

確かにSNS(主にTwitter)だけ見ると、ちょっと怖いかもしれない。

だからこそ、

「僕(宇野さん)も前半感極まっちゃって、後半は柴が感極まっちゃって。」とか、

「今日の話の内容に対してチケット代が高いと思う人もいるかもしれないけれど、普段発信している分も含めて、今日はお願いねってことです。」(宇野さん)

とか言われると、そうだよね、良かった同じ気持ちで!ぷらすとで払えない分も含めてのサポートです!の気持ち。こちらもエコシステム。もちろん、タナソーさんの〈the sign podcast〉も。

イベント後に『平成最後の恋愛事情』(ぷらすと)などピュア宇野さん回を久々に見直して、やっぱり映像があるのとないのとでは印象が大きく変わるのかもしれないなど。poplifeでも集まる3人(+三原さん)だけど、音声だけだとやっぱり少しリスナーを突き放すように聞こえるかもしれない笑

 

 最後にボカロの話もあったが、あまり分からず、、。タナソーさんは再度『フォードvsフェラーリ』を激推し。〈the sign podcast〉のSeason1-Ep1でもタイトルされている。

 またやりましょう、とお二人ともおっしゃっていたので、きっと次回があるはず。また楽しみにしています。

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【イベント感想】京都国際映画祭クリエイターズファクトリー2020グランプリ作品上映イベント

 我が家ではほぼBGMとなっているトーク番組『ぷらすと』の推し活として、よしもと有楽町シアターにて参加。今日は春日さん、松崎(健夫)さん、天明さんに一気に会える、、!

春日さんと松崎さんは毎月イベントで会いに行けるのだが、天明さんは久々で嬉しい。2019年の公開収録イベントよりもシュッとされたような??

 

1. 審査員のオープニングトーク

 春日さん(MC)、武田梨奈さん、天明さん、松崎さん、上木則安さん、古賀俊輔さん登壇

 

 審査員の方々もスクリーンで見るのは今回が初めてとのこと。音に注目ということで一応メモしたが、百聞は一見にしかず、メモするまでもなかった。

 

2.映画「ブラック」上映

 「人が消える瞬間が映された動画が Twitterで投稿され、その現象をカメラに収めるべく、ゴシップビデオトピックス社の林ディレクターと吉川カメラマンは、消える男・浦尾透の元を訪ねる」というストーリー。監督・撮影・編集・合成・企画:山元環、主演・フォントデザイン:山元康輔、助演・アニメーション・フライヤーデザイン:山元駿と全て3兄弟で制作された作品だそう。モキュメンタリーの30分の短編映画。

 事前情報だけでは正直、、、(あんま面白くなさそう)と思っていたのだが、感動した。私の中にもまだ何かが眠っているのではないかしら、と勇気付けられさえした。ネタバレになってしまうのだが、音=瞬間移動音だった。ほぼ銃声。とてもうるさい。

 浦尾さんが瞬間移動する度に大音量で銃声を体感し、だんだん頭痛がしてくる。クライマックスシーンで立て続けに瞬間移動された時にはもう、、ロキソニンが必要。映画『1917』を思い出した(長回しIMAXで体感してしまったものだから鑑賞中に酔ってしまった。)。つまり観客だけ安全な場所から「感動」することは許されない。忘れられない映画だと思う。

 瞬間移動男=浦尾さんは、その能力を自覚しているのに「能力」だと思っていない。ただ自覚しているだけ。取材依頼に対しても、「別に人に見せるもんじゃないし」と否定的な態度。良くも悪くも使い道多そうで羨ましいのに。一方で瞬間移動は、当人(浦尾さん)への身体的負担も大きい。直後は脱水、身体中の痛み、熱などの副作用が生じる。才能を発揮する、というのはそういうことなのだろうか。途中から林ディレクターと吉川カメラマンに対して苛立ちを覚える。才能の持ち主(浦尾さん)だけがリスクを取り、それをただ搾取し消費する。謝礼(瞬間移動1回1万円、5回で10万円など)を餌に話を取り付ける。最終的には「浦尾さんすごいですって!なんか一緒にやりましょうよ!」と泣きながら自分の言葉に酔って浦尾さんを表舞台に出そうとする林ディレクター。「とにかく帰ってくれ」と突き放す浦尾さんも、彼らの忘れ物(レンズキャップ?)を届けるために林ディレクターらの元へ正確に瞬間移動できた後には、晴れやかな笑顔に(瞬間移動先を正確に指定することはできない設定。)。「やってみたらできたわ!なんかやってみよかな。」と。コロナ禍により廃業したラーメン店店主だった浦尾さんに、展望が開けて良かった、かな。浦尾さんの姿に勇気づけられたのは間違いない。

 ちなみに林ディレクターが泣きながら浦尾さんを説得するシーンは(ほぼお笑いで、)思わず笑ってしまった。この匙加減で苛立っているのが馬鹿馬鹿しくなるので、最後まで面白く見ることができたと思う。

 

3.グランプリ作品授賞式、山元環監督と審査員のトーク

 以下、印象的だったコメント。

「最初の緊急事態宣言下、接近が許される家族で映画を撮った点がアイディア。室内でのリモート作品(画面分割型)が多い中、屋外ロケも新鮮だった。」(松崎さん)

「(映画制作においては)キャラクター設定が面白いことに加え、撮影場所を重視している。そのためロケハンはかなりしっかり行なった。撮影場所は裏通りが多いが、これはタイトルのブラック=裏、すなわち表通りに対する裏通りとリンクさせるためである。これが屋外で撮影した最大の理由でもある。」(山元監督)

「『ブラック』はヒーロー映画のEp.0作品に該当すると思う。主人公(浦尾)がこれからどのような道を歩むのか、非常に楽しみ。続編を期待している。」(上木さん)

「続編の構想はあり、次回は長編にしようと考えている。」(山元監督)

「日本のホイ三兄弟」(天明さん)

4.優秀賞作品の授賞式、各監督と審査員のトーク

 野本梢監督『アルム』、渡部健人監督『ZACO』、シーズン野田監督『外郎女』、碧嵐澄士監督『LOVE WATER FIRE』

 個人的にはこの時間がハイライトだったかもしれない。どの監督も、自分の「生きづらさ」(と勝手に表現して良いのか自信がないが、)を映画に投影しているのだな、こちらの4作品もスクリーンで一緒に見たかったな、としみじみ思わされた時間だった。トーク内容は全てメモしているのだが、文字にせず、しばらく感動とともに胸にしまっておきたいような、、。「監督」というととても大きく、近寄り難い、別世界のイメージだった。もちろん、映画を取り受賞までされるということで皆さん才能ある方に違いないのだろうが、トークで垣間見える「生きづらさ」は私にも共感できるものばかりで、身近に感じた。これは何かしらアウトプットしないと爆発するやつだなと思い、私も今日の感想から書き始めてみることにした。

 

 野本梢監督は、最新作『愛のくだらない』が2021年8月27日からテアトル新宿にて公開されるとのことでぜひ見に行きたい!春日さんも絶賛していました。こんなに素晴らしい作品があるのに同映画祭に応募されないのはもったいない、ということで、今年から90分作品も対象になったとのことでした。すごい。

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 2時間のイベントで満足度高すぎる内容。次回のぷらすと推し活は宇野さん柴さんのトークイベント、こちらも楽しみ。